世界を変える◇2009/01/24 05:00


【きみに、いまできること。】

このタイトルは、僕がお話を考えた絵本のタイトルです。


◆絵本を考えたエピソード

サブプライムローン問題を発端に、リーマンショック、
日本での影響も出始めた頃のある日のことです。

僕が名古屋の町を歩いていると、
身なりの良くない女性が不動産屋さんの前にいました。
家を探しているようです。

彼女を見た時、一目で ホームレス と分かりました。
髪は乾いていて、手袋がないと自転車に乗りたくないほどの
寒さなのにも関わらず、着ているのは薄いTシャツのように見えました。

「どうにかしたいな」と思いました。


しかし、その瞬間、隣のビルから少女が飛び出しました。
髪は乾いていて、薄いTシャツ一枚で、
背中には汚れた後がクッキリありました。

彼女の娘でしょう。
塾の講師をしていた経験から子どもは見慣れていたので、
年齢で言えば小学3年生か4年生くらいです。


僕はやりきれない気持ちになりました。

これからを作っていく子どもが、
こんな寒空の下、ボロボロのTシャツ1枚で過ごす事実。

自転車に乗りながら泣きました。

僕が彼女らにお金を差し出すことは簡単だけど、
それが解決になるわけじゃない。
そして、解決という道のためにお金という
解決策が一番最初に出たことにも悲しくなりました。
すげー悔しくて、
どうしてあんなに幼い子がこんな目に合うんだろうと、
自分の無力さに腹が立ちました。

彼女の母を雇ってあげることも出来ません。
ただ泣いてあげるしか出来なかったんです。

家に帰っても泣いてました。
お風呂に入り、声を上げてまきました。

普段は泣くことはありません。
でも、今日は特別でした。

たった一人の少女がホームレスとして歩いていたというだけでです。

泣きながら考えました。

そして、ある結果が出ました。


☆ Give&Take 『して欲しいこと』と『できること』

『して欲しいこと』と『できること』は、人によって様々あると思います。

『して欲しいこと』からスタート
Aさん(20歳女性、主婦) :
  【リンゴをウサギ型にするのが見たい】
  →代わりに【綺麗に靴を磨いてあげる】

Bさん(30歳男性、パティシエ) :
  【取れたボタンを付けて欲しい】
  →代わりに【リンゴをウサギ型にしてあげる】

Cさん(70歳女性、主婦) :
  【靴を磨いて欲しい】
  →代わりに【取れたボタンを付けてあげる】

こうして見ると、互いに『して欲しいこと』と『できること』が関連してますよね。
AさんはBさんに、BさんはCさんに、CさんはAさんに何かしてもらい、
AさんはCさんに、CさんはBさんに、BさんはAさんに何かしてあげれば良いのです。

この『して欲しいこと』と『できること』は、
お金のやり取りなく、交換できることを言っています。

これが世界中で交換できたら良いのに。
まずは、自分から出していくことにしました。

『できること』からスタート
僕 :
 【話を作ってあげられる】
 →代わりに【誰かに絵本を書いて欲しい】

こうして、僕はある物語を考えました。

(物語に関するお知らせ)
絵を描きたいて下さる方がいれば、この物語をお譲りします。
また、内容の修正がある場合にも同様です。

コメント欄にて、「未公開コメント」とした上で
メールアドレスを記入し、ご連絡ください。


▽続き▽



うさぎは なやんでいました。

「ボクは なにができるんだろう。
 とびはねることは できるけど・・・」


うさぎは ぞうにあいにいきました。
「ぞうさん ぞうさん」

「なんだい?」
ぞうは ズッシンズッシンと あしおとをならしながら
ちいさなうさぎをふまないように ちかづきました。

「ぞうさんは そのながいはなで なにができるの?」

ぞうは こたえました。
「こどもにみずをかけてあげたり
 きのみをとったりするくらいさ」

うさぎは かなしそうにいいました。
「それはべんりだね。
 でも ボクにはできそうにないや」


うさぎは つぎに キリンにあいにいきました。
「きりんさん きりんさん」

「あら なにかしら」
きりんは ながいくびを ゆっくりとおろしました。

「きりんさんは そのながいくびで なにができるの?」

きりんはこたえました。
「とおいところがみえるのよ。
 こわいものがきても すぐにわかるのよ」

うさぎは また かなしそうにいいました。
「それは べんりだね。
 でも ボクには できそうにないや」


うさぎは つぎに にわとりにあいにいきました。
「にわとりさん にわとりさん」

「なんでい」
にわとりは バタバタとはねをうごかして うさぎのよこにおりました。

「にわとりさんは そのはねで なにができるの?」

にわとりはこたえました。
「とりはとべるけど おれっちのはとべないんだ。
 ただ あさをみんなにつたえるのが とくいなんでい」

うさぎは また かなしそうにいいました。
「それは べんりだね。
 でも ボクにはできそうにないや」


うさぎは だんだん こまってきました。


うさぎは さいごに かめにあいにいきました。
「かめさん かめさん」

「よんだかね」
かめは おもいからだをずるずるとひきずってきました。

「かめさんはものしりだから ボクが なにができるかわかる?」
うさぎは ものしりなかめにききました。

かめは なやみました。
「きみは じぶんができることを しりたいのかね?」

うさぎは いままでのことをはなしました。
「ボクは みんなができることをきいてみたんだ。
 でも ぼくには みんなができることができない。
 みんな ぼくより すごいことができるんだ」

かめは なにもいいませんでした。
うさぎをのこして ずるずると うさぎのそばをはなれました。


かめがいなくなってから うさぎは かんがえるのをやめました。
そのよるのことです。

うさぎは だれかのこえをききました。

「だれ?」
うさぎは よるにむかって はなしかけました。

よるのなかから こえがきこえました。
「きみは なにができるかを しりたいの?」

うさぎは うれしそうにいいました。
「ボクのできることがわかるの?」

よるのなかのこえがこたえました。
「わかるよ。きみはとびはねることができる」

うさぎは なやみながらいいました。
「・・・それでいいのかな」
「いいとおもうよ」

うさぎは みんなにもきいたことをききました。
「きみは なにができるの?」

「かなしんであげることしかできないんだ」
「かなしむ?」

「できることはないけど
 きみがなやんでかなしむのを いっしょにかなしむことができるんだ」

「ボク とびはねることができるって おもっていいのかな」
「いいとおもうよ」

「くさのにおいもわかるよ」

「とおくのおともきこえるよ」


うさぎは よるのなかのこえにむかって たのしそうにはなしていました。

こえがいなくなると うさぎはねむっていました。


あさになると うさぎは かめにあいにいきました。

「ボク わかったんだ!」
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